診療事業・診療のご案内
診療科目について
心臓血管再生療法・患者さん、一般の方へのお知らせ
はじめに
先端医療振興財団先端医療センターおよび神戸市立中央市民病院では、今年度から心臓血管再生治療の臨床試験を開始する予定です。 対象となる患者さんは、心筋梗塞(しんきんこうそく)あるいは狭心症(きょうしんしょう)という病気のために体を動かしたときに胸が痛くなったり、息苦しくなったりする方々です。このような病気は、心臓の筋肉を栄養する血管(冠動脈)が狭くなったり、詰まってしまうことによって発症します。これまでの医療でも、1)お薬による内科治療、2)バルーンカテーテルによる狭い部分の拡張術やステント留置術、3)外科的なバイパス手術などが行われており、一定の効果が証明されています。しかし、これら従来の治療を受けても病状が改善しない、あるいは従来の治療を施行できないくらい重症の患者さんでは、数年以内に新たな心筋梗塞や心不全を発症したり死亡に至る頻度が高いことが知られています。先端医療センター循環器科および神戸市立中央市民病院循環器内科では、従来の方法では治療できない重症の患者さんに対する新しい治療法として、自家末梢血血管内皮前駆細胞(じかまっしょうけつけっかんないひぜんくさいぼう)(血管の幹細胞)移植による心臓血管再生治療が役立つかどうかを調べる臨床試験を行っています。
対象疾患
虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)
1.自家末梢血血管内皮前駆細胞(CD34陽性細胞)移植による血管再生治療とはどのような治療でしょうか?
血管内皮前駆細胞(血管の幹細胞(かんさいぼう))は、骨髄(こつずい)や血液中に存在する未分化な細胞で、血管の閉塞した臓器や組織に注入されると血管を形成する細胞になる能力があります。この細胞はひとの血液中にCD34陽性細胞として存在することが分かってきました。これまでに動物実験で、血管の閉塞したネズミの下肢や心臓にヒトの血管の幹細胞を筋肉注射(細胞移植)することによって、新しい血管がつくりだされ(これを血管再生と呼んでいます)、血流が改善することが示されています。また、心臓については、大動物(ブタ)の実験でも、血管の幹細胞移植により血流が改善し、臓器機能が回復することが示されています。
この臨床研究でおこなわれるのは、患者さんの血液から採りだした血管の幹細胞を血行の低下した心臓の筋肉に注射することにより、新しい血管をつくりだすことを目的とした治療(心臓血管再生治療)です。心筋梗塞・狭心症の患者さんに対するこの治療法の効果はまだ確立されていませんが、新しく再生された血管により運動時に感じる胸の痛みや息苦しさが治るかどうか、心臓の機能が改善するかどうかを検討しています(図1参照)。
[図1:虚血部位への血管幹細胞移植による血管再生療法]
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2.この臨床試験はどのように行われるのでしょうか?
治療の方法は、1)治療の準備段階として、血液から血管の幹細胞を採り出す処置と、2)治療のための心臓の筋肉に細胞を注入する処置の二つに大きく分けることができます。患者さんには、神戸市立中央市民病院循環器センターへ入院して治療を受けていただきます。
血液から血管の幹細胞を採り出す処置
血管の幹細胞は、通常は骨髄にあり、血液中にはごく少数しか存在していません。そこで、治療に必要な数の細胞を血液から得るために、骨髄にある幹細胞を血液中に送り出す効果のあるお薬、顆粒球(かりゅうきゅう)コロニー刺激因子製剤(G-CSF製剤)を4〜5日間皮下注射します。さらに効率よく細胞を採り出すため、注射終了日に静脈から血液中の必要な成分を血液成分分離装置という機械を使ってとりだします(この処置は、アフェレーシスと呼ばれており、単核球(たんかくきゅう)という成分をとりだし、それ以外の大部分の血液成分をからだの中に戻します)。アフェレーシスで採り出した単核球には血管の幹細胞だけではなく、他の種類の細胞も含まれています。そこで採りだした単核球細胞を磁気細胞分離装置という機械にいれて、血管の幹細胞のみを抽出します(図2参照)。
[図2:本臨床研究における細胞の採取方法と移植方法]
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[図3:単核球を採取するために使用する血液成分分離装置(左)と
血管の幹細胞を分離するための磁気細胞分離装置(右)]
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心臓の筋肉に細胞を注入する処置
以上のような方法で抽出された幹細胞を心臓の筋肉内に注射します。この処置は心臓カテーテル室で行います。足の付け根の動脈からカテーテルという管を心臓の部屋の中までとおします。心臓の部屋の中から、心臓の筋肉の電位(電気の活動の程度)と筋肉の収縮の程度を測定し、虚血におちいっている(血液が充分にたりていない)部位を決定します(これを心内膜マッピングといい,NOGAという機械をもちいておこないます)。そして細い針を使って内側から心筋内に注射します(図4参照)。細胞を筋肉に注入する際は、心臓カテーテル室で心臓の筋肉に内側から細い針で注射いたしますので外科手術や全身麻酔を受ける必要はありません。
[図4:カテーテルを用いた心筋内への細胞注入のイメージ]
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3.連絡先・相談窓口について
先端医療センターおよび神戸市立中央市民病院では、以上のような心臓血管再生治療の臨床試験へ参加していただける患者さんを募集しています。本臨床試験に参加していただく患者さんの数は10名を予定しています。治療内容についてもっと詳しく知りたい方や治療を受けることを希望される方は、まず現在おかかりの主治医の先生にご相談いただき、紹介状をご持参のうえ、先端医療センター循環器科または神戸市立中央市民病院循環器内科をご受診下さい。先端医療センターでは、受診に先立って、お電話で診察予約をお取り下さいますようお願い致します。
連絡先・相談窓口
先端医療センター(再生医療診療科)
〒650-0047 兵庫県神戸市中央区港島南町2丁目2番
TEL:078-304-5200
神戸市立中央市民病院(循環器内科)
神戸市中央区港島中町4丁目6
TEL:078-302-4321
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