難治性骨折(偽関節ぎかんせつ)とは

難治性骨折(偽関節)は,長期間にわたり骨折の治癒が認められない状態をいい,下肢に生じた場合は歩行が大きく制限されます。

骨・血管再生治療法 ヒトCD34陽性細胞を用いた新しい再生療法

今回の治験では,これまでと同様の偽関節の手術をおこなう際に,患者さんご自身のCD34陽性細胞を移植します。

CD34陽性細胞は,骨髄や血液中に存在する未分化な細胞で,血管の閉塞した臓器や組織に移植されると,血管を形成する細胞になる能力があると考えられています。
さらにこれまでの動物実験で,ヒトのCD34陽性細胞を骨折したラットに局所投与(細胞移植)することで,新しい血管だけでなく骨も作り出され(これを骨・血管再生と呼んでいます),骨癒合が得られることが示されています。
ヒトCD34陽性細胞を用いた骨・血管再生治療法は,下肢偽関節に対する新しい治療法になる可能性があると考えられています。

治療方法

この治験の治療方法は,大きく分けると
 1)骨髄にある細胞を血液に送り出す処置(皮下注射)
 2)血液からCD34陽性細胞をとりだす処置
 3)手術時に偽関節部に細胞を移植する処置
の3つの処置があります。

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1)骨髄にある細胞を血液に送り出す処置(皮下注射)

CD34陽性細胞は,通常は骨髄中に多数あり,血液中にはごく少数しか存在していません。そこで,治療に必要な量の細胞を患者さんの血液から得るために,骨髄にある細胞を血液中に送り出す効果のあるお薬,顆粒球コロニー刺激因子製剤(フィルグラスチム)を1日に体表面積1m2当たり200μgの用量で,5日間皮下注射します。

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2)血液からCD34陽性細胞をとりだす処置(アフェレシス)

次に効率よく細胞をとりだすため,注射開始5日後に患者さんの静脈から必要な成分を,血液成分分離装置を使ってとりだします。この処置は,アフェレシスと呼ばれており,単核球という成分をとりだし,それ以外の大部分の血液成分は,患者さんのからだの中に戻します。

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以上の細胞のとりだし方[1)皮下注射と2)アフェレシス]は,一般的な方法として確立されています。なお,5日以内であっても血液の中の白血球数が規定の量を超えた場合には,以降のフィルグラスチム投与はおこなわず,アフェレシスをおこないます。
アフェレシスでとりだした単核球にはCD34陽性細胞だけではなく,他の種類の細胞も含まれています。そこでとりだした単核球からMB-001を用いて,CD34陽性細胞のみを分離します。

治験機器 MB-001CD34陽性細胞分離器
IK-02コラーゲン使用軟組織注入剤
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3)手術時に偽関節部に細胞を移植する処置

偽関節手術は,通常と同様の方法でおこないます。まず,必要に応じて偽関節部の再固定をおこないます。固定材料には髄内釘や金属プレートを用います。次に偽関節部の不要な組織を切除し,腸骨から採取した自家骨を偽関節部に移植します。
これに加えて,上記のような方法で分離されたCD34陽性細胞とIK-02を混ぜ,体重1kg当たり5 X 105個のCD34陽性細胞を偽関節部に移植します。