整形外科の診療内容・1

整形外科の診療内容について

膝関節軟骨損傷に対する再生医療

自己軟骨細胞加工製品

当財団では、限局性の膝関節軟骨損傷(ひざかんせつなんこつそんしょう)に対する再生医療の治験を神戸大学医学部附属病院と共同で実施しています。

今回の治験は、「軟骨損傷部の再生」を目指したもので、軟骨損傷が軟骨変性へと進行してしまうのを防ぐ効果が期待されます。この治験の特徴は、標準的な治療法(マイクロフラクチャーやモザイクプラスティ)では治療できない比較的大きな軟骨損傷(4c㎡以上)にも適用できることです。現在、この治験への参加を募集しています。

※本治験の募集は終了いたしました。

膝関節軟骨損傷に対する再生医療

軟骨損傷について

膝軟骨損傷の主な原因としては、事故やスポーツ(例:ラグビー、サッカーといったスポーツで特に顕著に発生する)であり、軟骨に関わるケガや病気は近年増加しています。軟骨が病的状態に陥ると、痛みが生じ、生活の質までも著しく損なわれる場合があります。

軟骨損傷をそのままにしておくと、損傷範囲が次第に拡大し、軟骨変性へと進行することから、外傷による軟骨損傷は、二次性の変形性関節症の原因の一つと考えられています。変形性関節症が進行し、歩行も困難 なほどの痛みを生じる場合には、人工関節置換術などの外科的治療が必要になります。

これまでの治療について

内科的治療

膝の痛みを抑えるために非ステロイド性抗炎症剤(鎮痛剤)の内服が行われます。また、関節内注射として、ヒアルロン酸ナトリウムやステロイド薬が用いられていますが、これらは、いわゆる保存療法といわれている治療法で、病気の原因を取り除く根治療法ではありません。

外科的治療

関節鏡下に損傷部を洗浄する方法、軟骨損傷部の骨を傷つけて軟骨組織下の骨髄を刺激し、軟骨様組織の再生を促進する方法(マイクロフラクチャー、ドリリング)、健常な膝関節組織から自分の軟骨組織を採取し、これを損傷部に自家移植する方法(モザイクプラスティ)などがあります。
これらの既存の外科的手技は、損傷部の面積が4c㎡未満の比較的小さな軟骨損傷に対する治療法で、再生される軟骨は患者さんの硝子軟骨ではなく線維軟骨が中心で、長期的には力学的に破綻し、変形性関節症に進行し、人工関節置換術が必要となるリスクが存在します。また、人工関節置換術により、疼痛は除去され日常動作も改善されますが、関節の可動範囲に制約が生まれ、激しいスポーツは困難になります。さらに、術後の感染症、再置換の可能性、深部静脈血栓症といった合併症のリスクが存在し、ゆるみや耐用年数の関係上、一定期間後に、再置換術を実施しなければならない可能性があります。そのため、人工関節置換術の実施は、再置換術を実施する必要性が低くなる高齢者(55~60歳以上)に事実上、限定されています。それぞれの方法に一長一短があり、外科的治療法で治癒する患者さんもいますが、期待される効果の得られない患者さんもいます。

治験の目的について

今回の治験は、日本においてIK-01を製品化するために企業が行う治験の前段階の治験になります。そのため、企業による治験を行う際の患者さんの選択基準や評価方法などを検討することを目的としています。IK-01を移植したときに患者さんにとって好ましくないことが起こらないかどうかといった安全性の検討と、患者さんの膝の痛みや歩行の障害が改善するかどうかの有効性を検討します。

治験の方法

1:スクリーニング検査

治験に参加していただくための基準を満たしているかどうか、スクリーニング検査 [健康状態の確認、服薬状況、問診、生理学的検査(体温、血圧、脈拍、心電図、肺機能検査)、血液検査(感染症検査も含みます)、尿検査、胸部と膝のX線 撮影、膝のMRI検査、膝関節液の検査]を行います。検査の結果、この治験に適しているかどうか、担当医師が判断いたします。

2:膝の関節鏡検査(手術):軟骨組織片の採取と採血

神戸大学医学部附属病院に少なくとも2泊3日の入院をし、全身麻酔にて膝の関節鏡検査(手術)を行い、膝関節の軟骨損傷部を確認します。確認後、膝関節の軟骨の損傷部との境界面にあたる正常な軟骨の部分から、ごく微量(耳かきで取る程度です)の軟骨片を2個採取します。また、その時にあわせて採血(125ml)し、その血液と軟骨片を細胞培養センターに送ります。

3:IK-01の製造と品質試験

細胞培養センターで、患者さんの軟骨片から軟骨細胞を取り出し、ラット尻尾から調製したコラーゲン溶液と混ぜ合わせてゲル化させます。作製したゲルに、患者さんの自己血清を混ぜて調製した培養液を加えて、ゲル内の軟骨細胞を8~14日間培養・増殖させることでIK-01を製造します。製造したIK-01は先端医療センターで品質試験が行われ、合格した製品のみが移植に使用されます。

4:IK-01の移植手術

先端医療センターに入院し、全身麻酔にてIK-01の移植手術を行います。まず皮膚を3~5cm程度切開し、軟骨の損傷した部分を滑らかにし、損傷部の底 面および側面をフィブリン糊で薄く覆った後に、IK-01をはめ込みます。

5:移植手術後の機能回復運動

術後48時間は膝関節を装具で固定します。また、移植手術後5日以内に神戸大学医学部附属病院に転院し、4~6週間程度入院していただき、また機能回復を目的としたリハビリテーションを受けていただきます。

6:膝の関節鏡検査(移植手術後52週後に実施)

神戸大学医学部附属病院に少なくとも2泊3日の入院をし、全身麻酔にて膝の関節鏡検査(手術)を行い、膝関節のIK-01移植部を確認します。

本治験の流れ

本治験の流れ

主な検査・観察項目とスケジュール

詳しくはこちら(PDFファイル)をご参照ください。

治験にご参加いただける基準

以下のすべてにあてはまる患者さんはご参加できます。

  1. 同意取得時の年齢が20歳以上50歳以下の患者さん。
  2. 治験への参加について、本人の同意が文書で得られた患者さん。
  3. 膝関節に限局性の軟骨損傷(離断性骨軟骨炎を含む)を有する患者さん。
  4. 軟骨損傷の状態(MRI画像や関節鏡検査などで医師が判断)が治験の基準に適 している患者さん。
  • 膝関節鏡検査(手術)※にて、軟骨損傷部位の面積が9c㎡以下で、周囲が丈夫 な骨組織で囲まれていることが確認された患者さん。
  • 軟骨損傷部位の面積が4c㎡未満の場合、既存の標準的治療法により十分な治療効果が得られなかった患者さん。

関節鏡検査(手術)で、参加基準4)の確認をいたします。参加基準を満たしていれば、IK-01の製造に必要な軟骨組織片の採取および採血をいたします。参加基準4)を満たさなかった方は、その時点で治験中止とさせて頂き、軟骨組織片採取および採血は行いません。

治験にご参加いただけない基準

以下のいずれかの基準に当てはまる患者さんはご参加いただけません。

  1. 変形性膝関節症の患者さん。
  2. 下肢のうち膝以外にも関節症が存在する患者さん。
  3. 同側下肢で膝関節軟骨の損傷が2箇所以上存在する患者さん、または両側(足)の膝関節に治療を必要とする患者さん。
  4. 痛風または偽痛風を合併している患者さん。
  5. 膝軟骨損傷が向かい合う関節面にも存在する患者さん。
  6. 損傷がある側の脚(患側肢)に神経性疾患により麻痺がある患者さん。
  7. 腸骨移植等の他部位からの骨移植術が必要な患者さん。
  8. 損傷がある側の脚(患側肢)に膝関節半月板切除あるいは縫合術の既往がある、 あるいはその必要のある患者さん。ただし、半月板1/3未満の切除あるいは縫合の既往のある場合、術後一定期間(8週間以上)を経過した患者さんはご参加いただけます。
  9. 損傷がある側の脚(患側肢)の膝関節に靭帯損傷に対する靭帯再建等の外科手術の既往がある、あるいはその必要のある患者さん。ただし、術後一定期間(8週間以上)を経過した患者さんはご参加いただけます。
  10. 損傷がある側の脚(患側肢)の膝関節に感染症を合併している患者さん。
  11. リウマチ性関節炎、あるいは自己免疫疾患を合併しているか、その既往がある患者さん。
  12. 血小板数10万/μL未満の患者さん。
  13. 同意取得前3年以内に悪性疾患の既往がある患者さん。
  14. コラーゲン含有製品にアレルギーを起こしたことがある患者さん。
  15. フィブリン糊(ボルヒール等組織接着用)に対して重度の過敏またはアナフィラキシーショックを起こしたことがある患者さん。
  16. 薬物・アルコール依存症を合併している患者さん。
  17. 麻酔による有害事象の既往、薬剤アレルギーの既往のある患者さん。
  18. 精神障害を合併している、あるいは本治験の指示事項に従うことが出来ない患者さん。
  19. HIV、HTLV 、B型・C型肝炎ウイルスまたは梅毒感染症のいずれかを合併している、あるいはキャリアと診断された患者さん。
  20. ワーファリン・抗血小板薬を服薬中の患者さん。
  21. 妊娠中もしくは授乳中の患者さん。妊娠している可能性のある患者さん。妊娠を希望している患者さん(パートナーの方が妊娠を希望している患者さんも含まれ ます)。なお、男性、閉経後2年を経過している患者さん、不妊手術を受けている患者の方は含まれません。
  22. 重い合併症を有する患者さん。
  23. 6ヶ月以内に他の治験または臨床研究に参加していた患者さん。

このほか、この治験の参加に同意して頂いても、状態を考慮し担当医師の判断により治験に参加いただけない場合があります。

予定症例数

10例

お問い合わせ

膝関節軟骨損傷に対する再生医療に関するお問い合わせ

本治験の募集は終了いたしました。

難治性骨折(偽関節)に対する再生治療に関するお問い合わせ

本臨床研究に関するお問い合わせは、先端医療センターまでお願いします。

※本臨床研究の募集は終了いたしました。

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