Foundation for Biomedical Research and Innovation
先端医療センター研究所

鍋島陽一(なべしま・よういち)
先端医療センター長
1946 年生まれ。
新潟大学医学部卒業、新潟大学医学部助手(生化学)、
厚生省国立・精神神経センター 神経研究所遺伝子工学研究部長などを 経て、京都大学大学院医学研究科教授、京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット長等に就任、 2010 年 4 月より現職
 我が国は、少子高齢化が進み、深刻な事態となっています。また、鬱病、統合失調症、認知症などの精神疾患患者数は年々増加しています。高齢者は複数の病気を発症する傾向があり、脳卒中や癌、認知症による長期間の治療、リハビリテーション、介護などの費用は膨大なものになっています。また、精神神経疾患の発症は、年代を問わず多くの人の生活の質/QOLに著しく影響しており、大きな経済的損失(医療費の増加及び労働生産性の低減)が生じています。

 これらの課題に立ち向かうために、病気の成り立ちを研究し、その成果を治療法開発に結び付ける研究を進めてきました。基礎研究と臨床研究の間を結ぶ研究を橋渡し研究と言いますが、先端医療センター研究所の第1の課題は、この橋渡し研究を推進し、治療法開発を促進することです。その研究対象は、アルツハイマー病の画像診断と新規治療法の開発、脳梗塞、血管再生、角膜再生などの再生医療、癌の免疫療法、動脈硬化、骨粗鬆症、肺気腫などの老化疾患です。

 第2の課題は、各個人が病気になるのを予防する先制医療研究の推進です。そのためには、それぞれの個人の一生の経時的データ、疾病記録、遺伝的素因等の膨大なデータ(ライフコースデータと言います)を集積し、スーパーコンピュータ「京」等を活用した解析により、各個人の病気のなりやすさや発症を予測する必要があります。また、この予測に基づいて、必要に応じて個人の生活習慣の改善や予防的処置を講ずることにより発症を抑える、あるいは遅らせ、軽減するための取り組みを進めなければなりません。

 医学全体から見れば先端医療センター研究所は小さな研究所ですが、フォーカスを絞ることにより、また、神戸・ポートアイランド地区に集積した各種の研究開発拠点の皆様方と協力することにより最大限の成果を上げるように努力していきます。神戸市民をはじめとする関係者の皆様のご支援をお願い致します。