Foundation for Biomedical Research and Innovation
先端医療センター研究所

分子病態研究部長
太田 明夫(おおた・あきお)
 
免疫制御による疾患の治療
炎症とは生体を外敵から守るために必要不可欠なメカニズムですが、多岐にわたる疾患において炎症を司る免疫系の不調が背後に存在することは注目に値します。不調により免疫が機能を失えば細菌やウイルスさらにはがん細胞に対する抵抗力が減退し、これらの増殖を抑えることができなくなります。逆に免疫機能が過剰に亢進する形の不調が現れると、自己免疫疾患やアレルギー性疾患などの発症につながります。我々の体内の免疫系には、その強弱を調節するメカニズム(免疫チェックポイントとも呼ばれる)が組み込まれています。本来起こってしかるべき免疫反応が起こらない、あるいは本来なら収まっているはずの免疫反応が継続するといった現象には、この調節メカニズムによる影響が考えられます。これら免疫チェックポイントを利用することによって不調に陥った免疫反応のバランスを是正し、様々な炎症関連疾患の症状の改善につながることが期待できます。分子病態部はMeiji Seikaファルマ社との共同で、炎症性疾患治療への新しいアプローチの研究を目的として2016年4月に設立されました。体内の免疫調節メカニズムを理解し、それを調節することによって炎症をコントロールする研究が、やがて炎症関連疾患の治療への貢献に結びつくのが我々の望みです。