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ES細胞にはいくつかの驚くべき能力があります。一つ目には、体を形作るあらゆる細胞になり得る多能性を持っているということ。 そして二つ目には培養皿の上である条件のもとで置いておくといくらでも自らのコピーを作り出せる無限の自己複製能力を発揮することです。
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多能性について説明しましょう。ES細胞は内胚葉、中胚葉、外胚葉がいずれ行き着く先であるすべての細胞に成り変わっていく可能性を持っています(<研究解説>で掲載しているNIHリポート「Stem
Cells」の第1章『幹細胞』で詳細を解説しています)。目的の細胞へうまく導くための方法を見つけ出すことができれば、病気や事故、あるいは老化などの原因で失われた体の機能を、ES細胞から作った細胞を補うことによって治療をすることが可能になるわけです。これがいわゆる再生医療です。
組織工学の研究と組み合わせることによって立体的な構造を持つ臓器を作り出すことができれば、ドナー不足の状態にある現状の臓器移植にとってかわることも夢ではありません。ES細胞は時に万能細胞と表現されていることもありますが、そのままで胎児に成長していく受精卵と違い、ES細胞は個々の細胞、組織、器官にはなり得ますが、そのままでは胎児になることはありません。万能細胞という言葉は受精卵に譲って、やはり多能性細胞と呼ぶほうが正確でしょう。
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もう一つの特徴である自己複製能力は、分裂した時に自分とまったく同じ性質、能力を持った細胞をほぼ無限に作り出すことのできる力です。ES細胞は放っておくと、すぐさま目的の細胞となるべく繰り返し姿を変えていきます。これを分化と呼びます。ところがES細胞をある条件のもとで培養すると、分化をしない幹細胞の状態でいくらでも増えていくのです(下図)。再生医療を現実のものとするためには非常にたくさんの細胞が必要です。この能力によって、目指す細胞、組織、器官を作り出すための"原材料"をいくらでも供給することができるのです。
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成体幹細胞にも同様に「多能性」と「自己複製能力」が備わっていますが、分化できる細胞の種類は通常限られています。
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|1.はじめに|2.胚から作り出されるES細胞|3.多能性と自己複製能力|
|4.進む治療への応用研究|5.研究における課題|6.研究推進に必要な社会との対話| |
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