多細胞動物の進化

 最初の多細胞生物はとても単純で、働きの異なる器官などなく、細胞の簡単な集合体に過ぎませんでした。たとえば、ボルボックスという多細胞生物の体のつくりは非常に単純です(ボルボックスの中に見える大きな細胞は、生殖細胞です)。


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 最初の多細胞動物は、カイメンとよく似ていただろうと考えられています。聞き慣れない動物ですが、磯遊びをしていると簡単に見つけることができます。生活はとても単純で、海水を吸いこみ、その中のエサをとっています。内側に鞭毛という小さな毛をもった細胞がならんでいて、これらが水流をつくっています。エサは細胞の中に取りこまれ、分解(消化)されます。できた栄養素は、他の細胞に自然に拡がっていきます。もちろん、栄養素を運ぶ血管などはありません。非常に原始的な細胞の社会だと言うことができるでしょう。とても単純なカイメンには、神経細胞がありません。神経細胞のない唯一の動物です。


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 次に生まれたのは、イソギンチャクやクラゲによく似た仲間です。これらは神経細胞をもっています。外部から刺激を受けると、神経細胞の中を電気的な変化が伝わり、刺激があったということが全身に伝わります。こうして全身のまとまりある行動が生まれます。しかし、脳はないので、触手を縮めるといった単純な動きしかできません。


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 次に生まれたプラナリアによく似た仲間に、はじめて脳が生まれました。神経細胞が一カ所に集まって脳をつくったのです。私たちの脳は、このとき生まれた脳がどんどん大きくなって複雑化したものです。


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 最初の人類は、今から500万年ほど前に、アフリカに誕生したと考えられています。そして、今から20万年程前、現世人類(ホモ・サピエンス)が誕生しました。その間、脳は大きくなり続けました。現世人類の1400gほどの脳の中には、約1000億個の神経細胞があり、複雑な回路をつくっています。言葉や心が生まれることになったのです。


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 このように、脳という大変複雑な臓器も、単純なものから複雑なものへ少しずつ変化を遂げてきました。ヒトの脳は38億年もの歳月をへて生まれたものなのです。同じように、心臓や肝臓、手や足なども38億年の歳月をへてできてきました。これらもすべて、細胞が形づくっています。脳には神経細胞、筋肉には筋細胞、膵臓には膵細胞というように、それぞれの臓器に特有の細胞があり、これらが組み合わさることで各臓器の働きが生み出されています。さらに、これらの臓器が上手にかかわり合うことで私たちの体は働くのです。われわれの社会がたくさんの職種の人々によって成り立っているのと大変よく似ています。このようにして進化は、途方もなく複雑な体を生み出したのです。