子供が産まれるまで

 これから発生過程に話を進めたいと思いますが、やや複雑なのでまずは映像を見て下さい。

 胚盤胞を球とみなして、内部細胞塊のある側を北、その反対側を南とします。受精後9日ほどすると、内部細胞塊の北側には羊膜腔(ようまくこう)という空間が、南側には卵黄嚢(らんおうのう)という空間ができてきます。これらの空間にはさまれた円盤部分 - 胚盤(はいばん) - が、胎児の体へと変化していきます。


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 羊膜腔は将来大きく発達して羊水を入れ、胎児を包み込むようになります。卵黄嚢は卵黄をもったトリやサカナの卵黄嚢のなごりで、ほ乳類ではもはや卵黄を包むことはありませんが、腸管の形成に重要な役割を果たします。

 受精後9日前後の胚盤は、外胚葉と内胚葉の2層の細胞層からなります(葉っぱのように薄いので、胚葉と言います)。これらの間には、やがて、脊索(せきさく)と中胚葉ができてきます(16日)。
脊索は、背骨(脊椎)をもった動物(脊椎動物)が進化してくる以前の動物が使っていたものの名残です。今でも脊索を使っている動物(脊索動物)がいます


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 外胚葉は、脊索に沿ったヒダをつくり(19日)、このヒダはやがて北側でふさがり神経管という中枢神経系のもととなる構造をつくります(21日)。羊膜側に残った外胚葉は、皮膚になります。

 またこのころ、串に刺した団子のように、胚の前後方向に並ぶ体節(たいせつ)ができてきます。脊椎(背骨)に見られるように、われわれの体は節にわかれていますが、その基本となるのが体節です。体節のどの部分が体のどの部分になるかは決まっています。


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 内胚葉は、将来、消化管や肺となり、中胚葉は筋肉や血管、骨などに変化していきます。

 このように発生過程では、まずおおざっぱなことー向きや区分けーから決まっていきます。最初に決まるのは、前後や上下などの方向です。この後、胚のどの部分が体のどの部分になるかが決まり、さらにそれぞれの部分のどこがどうなるというふうに、しだいに細部ができていきます。全体を頭や胸、腹などの領域に大きくわけた後で、頭であれば頭の細かな部分ができていくのです。生徒をいくつかのクラスにふりわけた後、それぞれのクラスの中で、またいくつかの班がつくられるのに似ていますね。

 この間も細胞は分裂を続けています。分裂した細胞は、さまざまな細胞に変化し、これらは組み合わさってさまざまな臓器をかたちづくっていきます。そしてこれらの臓器もまた、互いに協調しあって体を働かせるようになります。体という巨大な細胞の社会は、こうしてできてきます。
40週たったころ、この社会はほぼ完成です。いよいよ出産、赤ちゃんが生まれます。