HOX遺伝子群

 ちょっと具体例を見てみましょう。ヒトの発生過程では、HOX遺伝子群という遺伝子のグループが働きます。これらの遺伝子は、頭から尾の方向に、重なりを残しながら少しずつずれたところで働きます。このパターンが重要で、それぞれの場所でどんな遺伝子がどんな組み合わせで働いているかで、次に働く遺伝子に差が生まれ、そこが将来、体のどの部位になるかが決まってきます。

 たとえば、右図のd3やd4といった遺伝子は、頸(くび)をつくるときに働き、腰をつくるときには働きません。腰をつくるときには、d10やd11といった別のHOX遺伝子が働きます。どんな遺伝子がどんなふうに組み合わさって働くかで、できてくる体の部位が違ってくるのです。


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 ヒトのHOX遺伝子群は、図のように4つのセットからなっています。4つのセットは互いに大変よく似ていることから、もともと1つしかなかったものがコピーされて4つになり、ゲノムに組み込まれたと考えられています。HOX遺伝子群はショウジョウバエにもありますが、ヒトとは違って1つのセットしかありません。


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 ショウジョウバエでもヒトでも、HOX遺伝子群の基本的な働きは同じです。ショウジョウバエのHOX遺伝子も、頭から尾の方向に重なりを残しながら少しずつずれたところで働き、体の部位を決めていきます。ショウジョウバエとヒトのようなまったく違って見える生物で、同じ遺伝子が使われている例は他にもたくさん見られます(逆に、同じ遺伝子が、まったく別の場面で使われる例もたくさんあります)。

 このHOX遺伝子の発現がおかしくなったために、ふつうは2枚しかないはずのハネが4枚もあるショウジョウバエも見つかっています。場所(環境)の違いが、遺伝子の発現に影響を与え、細胞の活動に違いを与えていくことがわかりますね。この過程に狂いが生じれば、その後にも影響がおよび、体制(体のつくり)に大きな変化が現れてくるのです。


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