-- Nature 4 月25 日号 掲載論文要約の翻訳文 --
翻訳 古川修平
幹細胞は自己複製と分化によって新たな細胞を作り出す能力があるが、そのような幹細胞 はニッチと呼ばれる特別な環境に存在するものと考えられている。ところがほとんどの幹細胞 で、そのニッチの存在場所がこれまでまったく不明であった。毛胞(=毛根)にある色素細胞は、毛の再生周期と密接に関連しながら増殖・分化する。われわれは、マウスの色素細胞系の幹細胞が、毛周期の全体にわたって毛胞の下部不変部分(=バルジ下領域)に存在することを遺伝子導入マウスを使って解明した。この毛胞の下部不変部分に存在する細胞群のみが、 幹細胞としての条件を満たしている。また遺伝子導入マウスで色素再生プロセスを誘導する実験で、自己増殖中の幹細胞の一部が、ニッチからいったん外に出て空いている別のニッチに移動し、移動後も幹細胞としての役目を果たすのに十分な自己複製能力を備えていること が実証された。われわれの実験データは、ニッチが色素幹細胞から分化する細胞の命運決定に決定的な役割を担っていることを示している。
◆予備知識
◆ニッチ論文について
◆ニッチ論文の要約