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クローンベビーを2名誕生させたとする昨年末のラエリアン教団(the Raelian
sect)ないしはその配下にあるクローンエイド社(Cloneaid)の発表を科学誌(scientific journal)はどのようにとらえているか、あるいはどのような観点から報じているかをこの欄で紹介してきました。新聞やTVがこれを大々的に報じるのは、それだけ一般の関心が高く話題性があるから当然としても、かんじんのその真偽さえ不明なまま、つまり発表された事実に対する真相解明がなされないままに大騒ぎするのは、確かにscientific
journalが時としてやゆ的に使うmedia circus(マスコミの空騒ぎ)との印象をあたえないでもありません。その意味でもラエリアン発表に対してメディア独自の調査報道(investivative
reporting)による真相解明が待たれるのですが、いったんさいが投げられると真偽のほどとは関係なしに波紋が広がります。 |
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これまでこの欄でも何度か取り上げてきたように、今回関心が集まっているクローン人間の作製は、体細胞の核移植というクローン技術を利用して実現したとされており、このクローン技術は再生医学一般、なかんずく幹細胞研究にとっても非常に重要な欠かすことのできない研究手段です。しかしこれを利用(悪用?)すれば、姿かたちが親にそっくりな子供を人為的に誕生させることが少なくとも理論的には可能であることから、胚を利用する胚幹細胞研究、特に人の胚を利用するヒト胚幹細胞研究そのものの是非、あるいはこれと密接に関連するヒトのクローン胚を作製するためにクローン胚作製研究の是非について、世界各国で賛否の議論が沸き起こり、これらを法律で規制しようという動きが出ています。すでに法律が制定されている国もあれば、いまだ法律制定にまで至っていない国もあります。
(国連での禁止条約制定の動きについては→短信7)。
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この場合の問題の焦点は、ヒトクローン胚の作製(=クローニング)を、再生医療やその研究に利用する幹細胞を作るための「再生医療目的のクローニング」と、不妊治療の一環として行われ、今回の騒動のようにクローン人間の作製につながる恐れのある「出産目的のクローニング」に分けて考え、その双方を全面的に禁止するか、それとも出産目的のクローニングは禁止するが、再生医療目的のクローニングは認めるという部分的禁止の道を選ぶかにあります。 |
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世界の大国アメリカは、法律制定に至っていない代表的な国です。すでに何度もお伝えしているように、アメリカでは、新たにヒトのクローン胚を作製しようとする研究には政府の研究補助金を認めないという形で連邦政府レベルでの規制を加えています(→幹細胞研究に関するブッシュ大統領の演説;
→短信10)。これとは別に、連邦議会でもクローン技術を利用したヒトの胚の作製を法律で規制しようとしています。昨年には、下院で出産目的のクローニングと再生医療目的のクローニングの双方を全面的に禁止する法案が可決されました。しかし上院では全面的禁止を求める勢力と部分的禁止を求める勢力とが拮抗して、法案は審議未了となりました。 |
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そういう微妙な状況下に今回の「クローンベビー誕生か」というニュースが飛び込んできたので、米議会の今後の動きに何らかの影響を及ぼすことは十分予想されました。
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Nature誌1月2日号の「クローン人間作製報道、上院の反発を招くか」と題するnewsは、まさにこれを取り上げ、クローンベビーを誕生させたとするラエリアン教団の発表がもたらす政治的波紋、特に、ヒトクローン胚作製の全面的禁止か部分的禁止かで揺れている米議会上院での法案審議に及ぼす影響に焦点を当てています。
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上院では、カンザス州選出の共和党のサム・ブラウンバック議員がヒトクローン胚の作製を全面的に禁止する法案を昨年に提出したのですが、「学者や研究者の強力な反対にあってこの法案の可決に必要な60票を確保できず」に終わりました。ヒトクローン胚作製の全面的禁止を求めるブラウンバック法案に対して、研究者らは部分的禁止法案(出産目的のヒトクローン胚の作製は禁止するが、再生医療目的のヒトクローン胚の作製は認める法案)に賛成しているのですが、政界関係者は「これも可決に必要な票数を集められるかどうか疑問である」と見ているようです。 |
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そこへ上記のように未確認情報とはいえ、クローンベビー誕生報道が出てきたのですが、「研究者らは、これによって研究目的を含めてすべてのヒトクローン胚の作製を禁止する法律が成立することになるのではないかと心配を募らせている」ようです。 |
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おりしも、前出のブラウンバック上院議員は、ヒトクローン胚の作製を全面的に禁止する法案を数週間以内に上院に再提出する準備を始めており、「ラエリアン教団の発表の真偽は別にしても、結果的にブラウンバック法案への支持が高まる可能性がある」と記事は述べています。 |
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昨年12月23日にはビル・フリスト議員が共和党の院内総務に就任しました。フリスト新院内総務は元心臓外科医で、本来は生物医学研究を支持しているのですが、ことヒトクローン胚作製に関してはブラウンバック法案を支持しているそうです。ブッシュ大統領もブラウンバック法案を支持しているとされています。 |
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この問題に関する米議会上院の今後の動向が注目されます。 |
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● ことば
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未確認報道/ニュース = an unconfirmed report/news |
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未確認情報 = unconfirmed information |
| 3: |
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宇宙人; 異星人 = an extraterrestrial |
| 4: |
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秘密の場所で = at an undisclosed location |
| 5: |
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疑ってかかっている世間一般 = a disbelieving world |
| 6: |
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心臓外科 = a heart surgeon |
| 7: |
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ヒトの胚 = human embryo |
| 8: |
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クローン胚 = cloned embryo |
| 9: |
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ヒトクローン胚 = cloned human embryo |
| 10: |
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生物医学/生命医学研究 = biomedical research |
| 11: |
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出産目的のクローン作製(技術) = reproductive cloning
(クローン胚を作製する場合も、クローン動物を作る場合にも使われる。特に、クローン人間を作る場合はreproductive
human cloningと呼ばれる) |
| 12: |
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再生医療目的のクローン作製(技術) = therapeutic cloning |
● 表現
| 1: |
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・・・・の間に心配する声が上がっている
→ Concern is mounting among・・・・ |
| 2: |
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60票を集める→ garner the 60 votes |
| 3: |
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研究者からの猛烈な反対→ trenchant opposition from
researchers |
| 4: |
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・・・に取りかかる→ be set to do・・・ |
| 5: |
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まだ何も証拠が提出されていない
→ no evidence has yet been presented |
| 6: |
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真偽のほどは別として→ Whether genuine or not, |
| 7: |
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この発表が・・・に対する支持を高める効果があるかもしれない
→ the claim may serve to build support for・・・・・ |
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