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また、放射線照射によってダメージを与えたひ臓細胞をCFAとともに投与しても、インスリンは分泌されるようになり、血糖が正常にもどることがわかりました。しかし、この場合、ドナー由来のすい臓細胞は生まれていませんでした。これは、ドナーのひ臓細胞はレシピエントのすい臓に組み込まれなくても、レシピエントの免疫システムを正常にする働きがあり(クラス1MHC分子の作用によると考えられる)、また免疫システムさえ正常になれば、レシピエントのすい臓には内在的な再生能力がある、ということを示唆しています。
今回の発見は、二つの可能性を示しています。
一つは、機能的にあまり重視されてこなかったひ臓に、リンパ系と消化器系をつなぐ大切な役割があるかもしれないということです。リンパ系のひ臓細胞が消化器系のすい臓を治すのは、一見不思議なことのように思われます。しかし、まれにひ臓にすい臓細胞由来の腫瘍ができたり、その逆が起きたりします。またひ臓は、リンパ系器官でありながら、発生の過程で、胃と体腔壁をつなぐ胃間膜の中にできてきます。ひ臓とすい臓の間には何か特別な関係があるのかもしれません。
二つ目は、もちろん、現在では治療困難な1型糖尿病の治療への可能性です。現在、世界で約1700万人の人が1型糖尿病に苦しんでいますが、ひ臓細胞とCFAの投与による治療が可能になれば、彼らが自分でインスリンを注射することも、現在実験的に行われているすい臓移植も不要になるかもしれません。もちろん今回の実験はマウスを使ったモデル実験なので、ヒトに応用できる保証はありません。ファウツマンさんたちは、今後、ヒトでの臨床試験を進めていくそうで、その結果が期待されます。
今回のSCIENCEの論文
Kodama S, Kuhtreiber W, Fujimura S, Dale EA, Faustman DL.
Islet regeneration during the reversal of autoimmune diabetes in NOD
mice.
Science. 2003 Nov 14;302(5648):1223-7.
二年前のファウツマンさんたちの論文
Ryu S, Kodama S, Ryu K, Schoenfeld DA, Faustman DL.
Reversal of established autoimmune diabetes by restoration of endogenous
beta cell function.
J Clin Invest. 2001 Jul;108(1):63-72.
二年前のファウツマンさんたちの論文の解説
Palmer JP.
Immunomodulatory therapy of human type 1 diabetes: lessons from the
mouse.
J Clin Invest. 2001 Jul;108(1):31-3. |
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