ごはん、減塩、大豆を

 ゲノム時代にはゲノムに支配されるのでなく、ゲノムによって遺伝子を知ることによって病気を予知し、栄養によって予防することが大変重要になる。財団で進めている「健康ひょうご21 県民運動」の中では、食の啓蒙として、ごはん、減塩、大豆の大切さを説いている。

 まずごはんだが、ごはんを主食とする国とそうでない国を比較すると、ごはんの国は肥満が少ないし、コレステロールも少ない。その結果、心筋こうそくの発症率にも大きな差がある。食塩は、今の食塩摂取量の半分にあたる7グラムにすると脳卒中の死亡率が大きく減る。寝たきりになる原因の半分は脳血管の病気だから食塩を少なくすることは重要だ。また、大豆についてだが、大豆分特有のイソフラボンの尿中排泄量の多いところは心筋こうそくの死亡率が特異的に少ないことがわかっている。イソフラボンが血管がつまらないようにするための遺伝子の働きを良くしている。カロリーの50%以上ごはんのような複合炭水化物でとっている国は、先進国では日本だけで、つまり、ごはん中心で、これに合う魚、大豆を食べる日本型の食事は非常に心臓、血管系の病気にもよいし、ガンにもよい。

 高血圧、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病に遺伝子が関係している。ところが栄養はその根本的な遺伝子の発現のところで作用するため、生活習慣病の予防が可能になる。脳卒中の死亡率はナトリウムとカリウムの比率に関係している。長寿のコーカサス地域ではタンパク質の摂取は日本人の1.5倍、コレステロールの摂取は変わらない。それでなぜ長寿かというとナトリウムとカリウムのバランスがいいからだ。カリウムや食物繊維はナトリウムの害を打ち消してくれるので、分母になるカリウムの摂取量を増やせば脳卒中が少なくなって、そして健康で長生きできるのである。


健康な食産業の振興を

 こういうことを考えると食事をしながら健康の再生が図れることになる。都市のなかにそのような場所をつくるとすればレストランだ。そこでわれわれは、レストランを積極的によくしていこうという考えのもと、その手始めとして、栄養成分表示などを行うレストランを「食の健康協力店」として普及させる事業に取り組んでいる。

 新しい検診システムによってゲノムとか個人の遺伝子のレベルで栄養評価を個人レベルでできるようになればオーダーメードの予防が実現でき、どのような人がどういう食事をすればいいかという"食育"が具体的に進む。食の選択において目の肥えた人が増えてくれば健康な食産業を振興することになる。振興につながれば、新しい健全な中食、外食産業が身の回りにあふれるようになり食環境が改善する。つまり、食育と食環境作りを進めることが健康を楽しむまちづくりにとっては非常に大事になってくると考えている。